2025/10/20

協同学習ってどんな学習?

  本日は、今年度から東伯中学校が取り組んでいる協同学習について、1年3組で実施した山根雄介先生の研究授業を題材に説明したいと思います。協同学習は各種行事や部活動のように、クラス全員が共通の目標を持ち、その目標達成のために協力して頑張る授業のことです。そのためには「みんなで勉強をわかるようになろう」「自分の頑張り(学び)が仲間の役に立ち、仲間の頑張り(学び)が自分の役に立つ」という協同学習の精神を子どもたちに養っていかなければいけません。本日はそんな授業を行っていくためのしかけについて説明させていただきます。
 この時間の授業の目標は「異なる物質の温度による水への溶け方の違いを観察することで、塩化ナトリウムと硝酸カリウムが質量比1:1で混ざった混合物から硝酸カリウムだけを取り出す方法を考え、実験の計画を立てることができる」でした。とても長い目標ですが、協同学習では目標が少々長くなっても授業のゴールを生徒にわかるように説明することが大切になります。この時間は授業の終わりに実験の計画が完成していればいいのです。


 山根先生がさらに工夫されたのはこの長い目標を隣の人と確認させあい、ゴールをきちんと理解できた人から座らせたところです。そしてその後、授業の評価(S、A、B、C)と流れについての説明もされました。これによって、生徒はこの時間に何をどこまでどのように学習すればいいのかがはっきりとわかり見通しを持つことができました。

 ここからがいよいよ授業ですが、最初は試験管に入れた2つの薬品の混合物を水に溶かし、加熱、冷却した時の様子を観察しました。この観察が後半の実験の計画に役立ちます。



 実験後は、2つの薬品から硝酸カリウムだけを取り出す方法を個人で考えました。ここでも山根先生は「わからない人も何か書いていたら、班の人の考えのヒントになる場合もある。間違っていてもいいので、とりあえず何か書いてみよう」という声掛けをされていました。こういった声掛けが「班の仲間のために」という生徒を育てていきます。

 その後、班での話し合いをする前に、他の班の人との情報交換の時間をもたれました。ここでも、「自信のある考えが書けなかった人も、他の班の人からできるだけたくさん情報を聞いてくれば班に貢献ができる。メモしたことが班のプラスになる。頑張って聞き取ってこよう」という声掛けをされました。理科が苦手な人でも班の役に立てるという工夫です。さらに、情報交換後には互いに「ありがとうございましたという声も掛け合おう」という指示も出しておられ、実際にさわやかに感謝の気持ちを伝えあっている生徒の様子も見られました。


 そしていよいよ、硝酸カリウムだけを取り出す方法を班でまとめます。このときに、班内で仕事分担(司会、タイムキーパー、記録、情報収集)を行いました。班で活動するときに、各自の責任を明確にするのも協同学習の特徴です。そのおかげで、生徒たちは班の仲間のために自分の仕事に頑張っていました。取り出す方法がまとまった班から最終目標である実験の計画を立て始める指示も出されていました。



 実験の計画を立てる段階で困っている班は、決められた時間内に他班の情報を集めてきてもいいという指示がありました。これも、クラス全班がゴールにただりつくための手立てです。他班の仲間のために丁寧に説明をしてあげている班がたくさんあり、とてもいい雰囲気を感じました。

 授業最後は振り返りです。班でまとめた硝酸カリウムだけを取りだす方法を自分の言葉で各自がロイロノートにまとめ、それを提出して授業終了です。



 この1時間、1年3組の生徒たちは本当に頑張って授業を行っていました。授業後に、「こんなに真剣に考えたのは初めて!」「あー、頑張りすぎて疲れた!」等の言葉や、あいさつ後まで振り返りを書き続けている生徒が何人もいました。参観に来ていただいていた岡山大学の高籏教授からもお褒めの言葉をいただきました。

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